美味しいお供え
[東京都]
ショコラティエ
川路の和ショコラ
Culture
2022.9.23
一緒に食べた思い出の味、旅先で見つけた小粋なお菓子。今日はおいしいお供えとともに、お仏壇に手を合わせませんか。
2粒のチョコレート
祖母と私は料理仲間でした。
私は週末になるたびに祖母の家に
行って、一緒にご飯を作りました。
はじめては、まだ私が小学生の頃。
お正月のお雑煮を一緒に
作ったときのことです。
その日、祖母が私を台所に誘うのを
母は少し心配していた様子でした。
それでも、からからと笑いながら
「できるわよ」と
私の顔を覗き込んでくれた祖母。
子ども用の踏み台に立った時の
ワクワク感を今でも覚えています。
祖母は私の手を
そっと“猫の手”にして、
私がどんなに手間取っても
根気強く教えてくれました。
できあがると祖母は、
とびっきりのお椀を
用意してくれました。
漆の地に、桜や松、市松模様が
あしらってあるハレの日の器です。
今思うとお雑煮の出来は
あまり良くありませんでしたが、
その器に注ぐとなんだか立派で、
誇らしかったのです。
ひと口食べると
「ほら、できたでしょう」と
祖母は得意げに
母の方をちらりと見て、
私たちはくすくす笑い合いました。
先日浅草へ行ったとき、
「和ショコラ」というお菓子を
見つけました。
ショーケースの中の四角い箱には、
きちんと並べられた
端正なチョコレートたち。
表には、桜や松、梅などさまざまな
絵柄があしらってありました。
あの日のお椀みたいに、
上品で華やかで、
わくわくするような佇まいです。
私はつま先立ちでショーケースを
覗いて、ひとつ、指をさしました。
今日のお供えには、桜と松の柄の
「和ショコラ」を選びました。
小さなお皿に載せてお供えし、
手を合わせたあと、
私もお下がりをいただきます。
口にいれるとなめらかに溶け、
チョコレートのこっくりとした
甘みの中に、柚子や、
黒蜜きな粉など、
和を感じる素材の香りが
口一杯に広がりました。
思わず顔がほころぶ、
なつかしくてやさしい味わい。
食べ終えたあと、
お茶目な祖母に誘われた気がして、
私はもう一粒「和ショコラ」を
口に運んだのでした。
Store Information
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ショコラティエ川路
所在地:東京都墨田区吾妻橋
1丁目7-12
電話番号:03-6658-8480
営業時間:11:00~19:00
定休日:水曜日
第3水曜日の次の木曜日
https://chocolatier-kawaji.com -
祈りの道具屋 まなか
所在地:【銀座ショールーム】
東京都中央区銀座1-15-4
銀座一丁目ビル 9F
電話番号:03-5579-5671
営業時間:10:00~18:00
(年末年始除く)※完全予約制
https://manaka-store.com/