日本の祈り
[vol.0]
日本の祈りをめぐる旅へ
Academic
2022.4.22 Illustration:Makoto Motomura
日本にはたくさんの祭りや儀式があり、今も昔も人々はその土地に伝わるさまざまな方法で祈りを捧げてきました。ある時は豊作を、またある時は安産や子どもの成長を祈り、健康と平穏な日々を願って神様や仏様、ご先祖様に手を合わせてきたのだと思います。
そこで、古くから受け継がれてきた多様な祈りの姿を通じて、祈りの起源や、誰かを想って手を合わせることの根源的なあり方を見つめてみることにしました。人はなぜ祈るのか、どんな時に、何に対して、どうやって……?時代とともに変わってきたものと、いつまでも変わらないもの。たくさんの祈りの儀式からその共通点を探ることは、現代に生きる私たちにとっても大きなヒントになるのではないかと思います。
2022年、世界は大きく変わりました。集落の人が集まって濃密な時間を過ごし、ともに酒を飲み交わすようなハレの時間を持つことは難しくなってしまいました。それでも、人が人を想い、願いを込めて祈るという祭りの本質は変わりません。先祖代々受け継いできた祭りを次世代につないでいくために、規模やかたちを変えながら、各地で工夫を凝らして祈りの儀式が行われています。規模は小さく、想いは強く。祭りはコロナ禍以前よりも私たちの日常にぐっと近づいたのかもしれません。
世界がこんな状況になっても、あるいは、こんな状況だからこそ、「なんとしてもやりたい」と人の心を突き動かすもの。そこに「祈りとは何か?」のヒントが隠れているような気がします。今は実際に訪れることはかないませんが、いつか全国の祭りに足を運べる日が来ることを祈りながら、ひとまずは、日本の祈りをめぐる空想の旅に出たいと思います。
皆さまもどうぞご一緒に。私たちと一緒に、自分らしい祈りのかたちを探しにいきませんか?